書評『応仁の乱』~そう、戦というのは始まってしまうと意外と終わらないもの~
あえて仕事や投資と直接的に関係ない読書を愉しんでいこうと考えています。
この本もそう。仕事、投資にも老後資金貯蓄にも役立ちません(すぐには)。
ところでこの書籍、学術的なものであり、かつ日本史の中でも地味な「応仁の乱」を扱いながらも出版社自身が驚く売れ行き(現在30万部超)で、そこも話題になっています。
確かに「応仁の乱」は誰と誰が戦っているのか、何が目的だったのか、そして結局誰が勝ったのか?
よく分からないのが実情です(おそらく当事者たちも)。
でも、あの京都を焼き尽くす大乱ですから、こうした歴史は押さえておきたいと思い読みました。
で、結論を云いますと私には非常に興味深く面白かったです。
では人にもお薦めできるかといえば、出来ないですね。
日本史が好きでない人がこれを読んで眠気に耐えて読了できるとは思えません。
出てくる人物も、織田信長やら徳川家康ではありません。
室町将軍や中世の守護大名、地方豪族です。
足利義政、足利義視、畠山政長、畠山義就、細川勝元、山名宗全…といった面々です。
私は歴史が好きで、どうにも分かりづらい室町時代をもっと理解したいなあ~と、常々考えていたところなので「あ~そういう経緯だったのね!」などと感心しながら読めました。
しかし、エンタメ本ではなく学術系ですから最初は「畠山義就」とフルネームで記載してくれても、その直後からは「義就は…」と下の名前だけで話が展開する事も多い。
好きでないと「これは、名字は誰だっけ?」という事になりかねません。
但し、それも仕方ありません。エンタメではないのですから。
個人的には、ここまで「応仁の乱」を分かりやすくしてくれて感謝です。
何となく話題になっているから~という理由で購入した方のうち結構多くが本棚の飾りになってしまっている気がします。
ちょうど、ピケティの『21世紀の資本』のような感じで(笑)。
ところで、北朝鮮情勢が緊迫している今これを読んでみると、戦(いくさ)というものについて改めて考えさせられます。
以下、書籍『応仁の乱』からの学びとして自分のメモ的に戦、戦争という観点からいくつか記しておきます。
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・当事者は短期決戦で終わらせるつもりが
10年にも及ぶ大乱になってしまう
(戦が始まると当事者以外でも様々な損得勘定でそこに関わってくるので当初の目的だけでは終了しなくなる。北朝鮮情勢もアメリカ、北朝鮮だけで話は留まらないのは当然で、ロシア・中国も関わってきます。日本・韓国などは嫌々ながら巻き込まれる可能性が充分にありますので構図は変わらない訳です)
・戦力が拮抗していると戦は長引く
(これもアメリカと北朝鮮だけなら力の差は歴然ですが、ロシア・中国が絡んできたらどうなるでしょうか?)
・まさかと思う場所が戦場になる
(誰も御所が存在し数々の歴史的遺産を持つ京の都が火の海になるとは考えてもいなかった筈です。しかし、始まってしまうと止まりません。それでも公家たちは都を離れて地方でやはり贅沢三昧をしている訳で、そのブレない姿勢には妙に感心させられます。そのおかげで京文化が地方に伝来したのだとも云えるのでしょう。)
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それにしても、これだけ近くの土地で戦争が始まる可能性が高まっている割には日本という国はとてつもなく平和な雰囲気が漂っていますね(良くも悪くも)。
まあ、こうしてブログを書いている私も呑気な事この上ありませんが…
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