アーリーリタイア計画の問題点は「老後の自分」のメンタリティが読めない事
老後資金をテーマにしたブログを書いていて何ですが、実は本音をいえば老後の計画など無意味だと思っています(笑)。
いや、もちろん計画は大事だし、そこに向けて節約、貯蓄、運用をしておかなければ本当に悲惨な事になります。
但し「絶対に計画どおりにならない」だろうという自信もあります。
ブログ『共働きサラリーマンの家計簿』さんの「1億貯めても資産の目減りが怖いのか」という記事を読んで、常々感じていた事を上手く表現してもらったようで腑に落ちました。
ブログ主の御祖母が、旦那さんを亡くし公的年金の額が減ったことにより非常に金銭的な不安を感じている事が書かれています。
きちんと資産はあるようで、ブログ主さんは「資産を取り崩していけばいいだけではないか」「その為の資産なんだから」と、考える一方で、ご自身に話を置き換えて自分が老後1億円を持っていたら「それを取り崩して生活していけばいい」と達観できるかという思考実験をされています。
結果として、出来ないだろうと。
確かに1億円のお金があれば、毎月赤字でも何十年も持つので理論上は心配ありません。変に資産運用などせずに、無リスクの資産にして取り崩していく方が安全です。
が、しかし…
人間というのはやはり、自分のお金が日に日に減少していくストレスには非常に弱い訳です。
そうなると、投資知識がある人ほど「やっぱり資産を減らさないように、銀行預金ではなく年利5%は生み出すべく株式投資しよう」などと考えてリスク資産に投じてしまう可能性大です。
セオリーでいけば、老後が近づいたらリスク資産の割合を減らしてより安全にという事になるのですが、自分のお金が日に日に減っていく事に(運用の知識がある人ほど)耐えられそうにありません。
数字上の計画は正しくても、それを実行する自分は(悲しい哉)論理よりも感情が優先する人間という生き物です。
理屈どおりには反応しないのです。
これから世の中の環境は大きく変化し、公的年金の行く末も不安定です。
そういう意味で「先の事は分からない」という話はよく聞きますが、実際によく分からないはむしろ「30年、40年後の自分のメンタリティ」ではないでしょうか?
だって、80歳の自分の気持ちって想像つかないですもん。
体力が現在では想像もつかないくらい落ちて、病気も抱えて、家族との関係でも問題を抱えているかもしれません。
恐怖と孤独に支配されて劣等感に満ちた生活を送っているかもしれないです。
仕事もやめて承認欲求も満たされず「キレる老人」になっているかもしれません。
プライドを保つ為だけに、訳の分からぬ出費をする事も有り得ます。
メンタリティが現在と大きく違えば、お金に対するスタンスも全く異なる筈です。
なので、世界経済が予定どおり年率3%程度で成長してくれていても、現在描く「老後資金計画」を30年、40年後の年老いた自分が受け入れてくれるか、上手く実行してくれるのかと考えると、何ともいえない。
『共働きサラリーマンの家計簿』さんの御祖母の言動を笑うことは出来ません。
今の自分が見たら「おいおい、何やってんだよ。お金に関する考え方がそれじゃヤバイって!」というような老人に自分がなっている可能性は大です。
そう考えていくと、よくあるアーリーリタイア計画にはまさにこの「老後の自分のメンタリティ」が加味されていない点が問題といえるかもしれません。
数字上では、資産はこれくらいあって年率何%で運用して出費は毎月これくらいに抑えれば90歳までは持つ~という部分は正しくても、老後のメンタリティがそれを受け入れられるか?そのとおりに実行できるか?(途中で自棄になったり、心の変化でギャンブル的な投資に走ってしまうかも)というと、何とも読めません。
アーリーリタイアを実行する際には、そうした「今の自分では読めない老後の自分のメンタリティ」も考慮してかなり余裕資金を作ってからの方が良いような気がします。
カツカツの計画では、多くの問題を抱えた老後の自分から恨まれるかもしれません。
…まあ、とはいえ(たとえ計画どおりにならなくても)一応の計画の下に節約、貯蓄、運用をしておくのは正解でしょう。
30年後の自分は、こうした今のブログを読み返して「コイツは老人の気持ちが全く分かっていないな」と、ため息(苦笑?)をついている事でしょう。
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